介護用品・福祉用具のことなら

杖と歩む、新しい毎日:安全・快適な杖の使い方ガイド

「杖を使う」と聞くと、少しマイナスな気持ちになるかもしれません。
さらに初めて杖を使うとなると、さまざまな不安や疑問を抱えるかと思います。 しかし、杖は決してネガティブなものではなく、歩行をサポートし、安全にそして快適に生活するための心強いパートナーになります。
杖を使うことで、行動範囲が広がり、外出や旅行など、今まで諦めていたことも楽しめるようになるかもしれません。

この記事では、初めて杖を使う方が安心して杖との生活を始められるよう、杖の選び方から使い方、注意点までを丁寧に解説します

杖を使うことは「新たなスタート」

杖を使うことは、決して「老い」の象徴ではありません。むしろ、積極的に健康を維持し、より快適な生活を送るための「新たなスタート」と捉えることができます。 杖を使うことで、歩行が安定し、転倒のリスクを軽減できます。
杖を使い始めるタイミングは、一概には言えませんが一般的には以下のようなサインが見られた時が一つの目安となります。

Image 1

歩行時のふらつき

何もないところでつまずいたり、バランスを崩しやすくなったと感じる。

Image 2

歩行時の痛み

関節や筋肉に痛みがあり、壁や家具に手を付いたり、人に支えてもらったりすることが増えた。

Image 3

転倒経験

過去に転倒したことがある、または転倒しそうになったことがある。

Image 4 /

活動範囲の制限

足腰の筋力低下を感じ、歩行時に疲れやすい。バランスへの不安や痛みから、外出や活動を控えるようになった。

杖の使用を検討される際には、自己判断せずに、まずは医師や理学療法士にご相談ください。

杖の種類

伸縮杖 伸縮杖
長さを段階的に調整することができる杖です。杖が上下に分かれており、2本の杖をスライドさせ、体に合った長さに調整して使用します。
折りたたみ杖 折りたたみ杖
杖を携帯したい方や車に常備したい方におすすめです。
多点杖 選択制 多点杖
基底面が広いので、杖をついたときに安定感があります。筋力低下や麻痺がある方・背骨が曲がった方に適しています。
二本杖 二本杖
転倒予防を目的としており、杖を両手に持つことで背筋が伸び、左右のバランスが取れ、重心が安定します。歩行時にかかる負担が2本の杖に分散するため、膝や腰の痛みの軽減も期待できます。
ロフトランドクラッチ 選択制 ロフトランドクラッチ
体重を支える握りと腕を固定して支えるカフがついています。握力が弱っている方や、体に麻痺がある人に向いています。手が変形している場合や、下半身に体重をかけることはできても、筋力が足りずに支えきれない場合などに適しています。
松葉杖 松葉杖
体のバランスが悪い等、両足に均等に体重をかけられない方に有効です。もっとも重い荷重に耐えられる杖で、ロフストランドクラッチより安定性があります。骨折や捻挫をしている人をはじめ、下半身の麻痺や股関節症などがあり、下半身をサポートしたい人に有効です。

選択制・・・介護保険適用にてレンタルまたは、特定福祉用具購入の選択が可能です。

初めての杖、その扱い方と適切な高さ

杖が長すぎたり短すぎたりと自分の身長に合わない場合、正しい歩行姿勢を取ることができず、杖が体に悪影響を及ぼしてしまう恐れがあります。

ポイント3

杖は痛みや麻痺がない足と反対の手で持つ

杖は、原則として痛みや麻痺がない方(健側)の手に持ちます。痛み等がある患側は不安定なため足を前に出す際に、引きずったり、引っかけたりする恐れがあるためです。

ポイント1

持ち手の肘の角度は30~40度

杖の先を、杖を持っている側の足先前方20cmにおき、肘が自然に曲がる約30~40度の位置で持つと、身体を無理なく支えることができ、バランスが取りやすくなります。

ポイント2

身長の半分+2~3cmが推奨長さ

ご利用になる方の身長を2で割り、2~3cmを足した長さが推奨の杖の長さとされています。
身長160cmの場合:160÷2+2~3=82~83cm

ポイント2

腰や背中が曲がっている場合

無理のない範囲で軽く背中を伸ばし、腕を下げて肘を曲げやすい所まで曲げて、肘や肩が痛くならない高さに設定します。

より安定感をお求めの方は多点杖

通常の杖の先は、地面に接する点が1点であるのに対して、多点杖は3点または4点で地面に接することが特徴です。 通常の杖ではバランスが悪く不安を感じる方は、多点杖の使用を検討することをおすすめします。

Image 1

高い安定感!

一本杖と比較すると体重をしっかり分散して支えることができるので、高い安定感が得られます。

Image 2

荷重に強い!

一本杖と比較すると荷重に強く、安心して体重をかける事ができます。

Image 3

重量の増加

杖先が増え安定性が増す分、一般的な一本杖よりもやや重い作りになっています。

Image 4 /

傾斜等に不向き

支柱が可動しないタイプは段差・坂道などでは、杖先が浮いて危険になるため使用することができません。

杖は「あなたらしい」生活をサポート

杖は、個性を表現するアイテムでもあり、最近では、デザイン性に優れたおしゃれな杖も増えていて、ファッションアイテムとしても楽しむことができます。
杖は「自分らしい」生活を、安全に、そして快適にサポートしてくれるはずです。

この記事を通して、杖に対する不安や疑問を解消し、杖との出会いを素敵なものにしていただけたら幸いです。
杖と共に新しい毎日が、より安全で、より快適で、そしてより豊かなものになることを心から願っています。

ご自身の身体状況や生活環境に合った杖を選ぶには、福祉用具専門相談員が心強い味方になります。様々な種類の杖の中から、ご利用者の希望や状態にぴったりのものを選ぶお手伝いを致しますので、ぜひお気軽にご相談ください。