杖は痛みや麻痺がない足と反対の手で持つ
杖は、原則として痛みや麻痺がない方(健側)の手に持ちます。痛み等がある患側は不安定なため足を前に出す際に、引きずったり、引っかけたりする恐れがあるためです。
「杖を使う」と聞くと、少しマイナスな気持ちになるかもしれません。
さらに初めて杖を使うとなると、さまざまな不安や疑問を抱えるかと思います。
しかし、杖は決してネガティブなものではなく、歩行をサポートし、安全にそして快適に生活するための心強いパートナーになります。
杖を使うことで、行動範囲が広がり、外出や旅行など、今まで諦めていたことも楽しめるようになるかもしれません。
この記事では、初めて杖を使う方が安心して杖との生活を始められるよう、杖の選び方から使い方、注意点までを丁寧に解説します。
杖を使うことは、決して「老い」の象徴ではありません。むしろ、積極的に健康を維持し、より快適な生活を送るための「新たなスタート」と捉えることができます。
杖を使うことで、歩行が安定し、転倒のリスクを軽減できます。
杖を使い始めるタイミングは、一概には言えませんが一般的には以下のようなサインが見られた時が一つの目安となります。
何もないところでつまずいたり、バランスを崩しやすくなったと感じる。
関節や筋肉に痛みがあり、壁や家具に手を付いたり、人に支えてもらったりすることが増えた。
過去に転倒したことがある、または転倒しそうになったことがある。
足腰の筋力低下を感じ、歩行時に疲れやすい。バランスへの不安や痛みから、外出や活動を控えるようになった。
杖の使用を検討される際には、自己判断せずに、まずは医師や理学療法士にご相談ください。
選択制・・・介護保険適用にてレンタルまたは、特定福祉用具購入の選択が可能です。
杖が長すぎたり短すぎたりと自分の身長に合わない場合、正しい歩行姿勢を取ることができず、杖が体に悪影響を及ぼしてしまう恐れがあります。
杖は、原則として痛みや麻痺がない方(健側)の手に持ちます。痛み等がある患側は不安定なため足を前に出す際に、引きずったり、引っかけたりする恐れがあるためです。
杖の先を、杖を持っている側の足先前方20cmにおき、肘が自然に曲がる約30~40度の位置で持つと、身体を無理なく支えることができ、バランスが取りやすくなります。
ご利用になる方の身長を2で割り、2~3cmを足した長さが推奨の杖の長さとされています。
身長160cmの場合:160÷2+2~3=82~83cm
無理のない範囲で軽く背中を伸ばし、腕を下げて肘を曲げやすい所まで曲げて、肘や肩が痛くならない高さに設定します。
通常の杖の先は、地面に接する点が1点であるのに対して、多点杖は3点または4点で地面に接することが特徴です。 通常の杖ではバランスが悪く不安を感じる方は、多点杖の使用を検討することをおすすめします。
一本杖と比較すると体重をしっかり分散して支えることができるので、高い安定感が得られます。
一本杖と比較すると荷重に強く、安心して体重をかける事ができます。
杖先が増え安定性が増す分、一般的な一本杖よりもやや重い作りになっています。
支柱が可動しないタイプは段差・坂道などでは、杖先が浮いて危険になるため使用することができません。
杖は、個性を表現するアイテムでもあり、最近では、デザイン性に優れたおしゃれな杖も増えていて、ファッションアイテムとしても楽しむことができます。
杖は「自分らしい」生活を、安全に、そして快適にサポートしてくれるはずです。
この記事を通して、杖に対する不安や疑問を解消し、杖との出会いを素敵なものにしていただけたら幸いです。
杖と共に新しい毎日が、より安全で、より快適で、そしてより豊かなものになることを心から願っています。
ご自身の身体状況や生活環境に合った杖を選ぶには、福祉用具専門相談員が心強い味方になります。様々な種類の杖の中から、ご利用者の希望や状態にぴったりのものを選ぶお手伝いを致しますので、ぜひお気軽にご相談ください。